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(コロナ禍の留学)①
 本学国際交流課 松田氏に聞く

各学生の状況に合わせた対応を

2020年10月30日

 新型コロナウイルスの感染拡大による海外渡航制限は、大学の留学制度や留学生にも大きな影響を及ぼした。本学や、留学中または留学予定だった学生達はどのような影響を受けたのか。そして、本学は今後どのような取り組みを行っていくのか。本学グローバル教育センター事務部国際交流課主任で、派遣留学・認定海外留学を担当する松田一重(かずしげ)氏に話を聞いた。

 ―昨年渡航していた派遣留学生の状況は。
 「1月に中国でコロナのパンデミックが始まり、その後外務省が感染症の危険レベルを上げました。それに伴い、中国にいた派遣留学生の留学中止および帰国をすることになりました。中国は春節の休みの時期だったので、2019年度の秋学期授業が終わったタイミングでの帰国となりました。3月上旬にはイタリアと韓国に危険レベルの引き上げが行われたため派遣留学生に帰国を求め、最終的には全派遣留学生を帰国させるという形になりました。航空便の手配や現地の住居解約などがあったため、すぐに帰国できる学生もいれば、4月以降になった学生もいました。帰国後は、オンラインで派遣留学先の授業を引き続き受けた学生、時差の問題で本学の授業を受けた学生がいました。この先どうなるかわからない状態で帰国するということで学生の不安が大きかったので、帰国後の授業の選択肢や、留学の奨学金の扱いは3月中にすべて明確にしました」

 ―学生の反応は。
 「感染状況が国や地域によってまちまちだったので、継続したいという学生は一定数以上いました。しかし基本的に大学としては学生の安全を守るという面があるので、万が一のことも考えて帰国していただきました。逆に、まだ危険レベルが引き上げされていない地域でも、早めに帰国したいという学生はいました。その後、派遣留学先で街のロックダウンや都市封鎖が起こったり、チャーター便で帰ってきた学生がいたりしたため、最終的には早めに準備してよかったと思っています。実は3月後半以降、政府から海外からの帰国者は公共交通機関を使わないようにとの要請があり、東京からの交通手段が取れない人について職員がサポートを行ったこともありました。そういうところまで対応をしていて、オンラインでの個別の面談(★)も続けていました」

 
 ―今年の派遣留学生の状況は。
 「2020年春学期も秋学期も、渡航を伴う留学は中止となりました。学生の主な選択肢としては、留学期間を半期延期にするか、半期のみの留学にするかという二つです。一部の学生は秋学期にオンラインで派遣留学先の授業を取り始めている一方で、全くオンライン授業の提供がなく留学自体が中止になっている学生もいます。学生の中には、学期をずらしてでも渡航する機会を得たいという人が多いです。延期については、基本的に一学期しかずらすことができません。この春に留学期間をずらした学生は、秋学期に海外渡航ができる状況になるかというと難しい部分があるので、オンラインで派遣留学先の授業を受け始める学生もいれば、本学の授業を受ける学生もいます」

 
 ―各学生によって状況が異なるのでは。
 「本学には、4年生で派遣留学に行った場合に在学5年目の学費免除という制度がありますが、このあたりも柔軟に対応できるようにしました。4年生の秋から行く留学予定を春にずらすと、5年目がすべて留学になり、就職活動ができず6年目も在籍することになります。その場合は5年目の学費免除をしつつ6年目も休学というかたちで在籍できるようにし、学費の負担を最低限にした形で、かつ在学中に留学と就職活動の機会を得られるよう調整を行いました。学生によって将来の進路も違いますし、学期をずらして来年春も渡航できなくなった場合についてはオンライン授業を受けるのか、受けない場合就職活動を始めるのかなど、個別に面談をしながらその方にとって一番いい方法がなにか探っています」

 
 ―国際文化学部のSA(スタディーアブロード)中止については。
 「今年秋学期は、2年生のSAが中止となりました。現在は、通常通り本学の授業を受けている状況です。希望すれば来年の秋に2年生になる学生と一緒にSA先に行くことができますし、そのまま本学で授業を受けるという選択肢もあります。先日学生にアンケートを取ったところ、約150名の学生が『来年の秋にSAに行きたい』という回答でした」

 
 ―海外からの留学生の受け入れは。
 「この秋学期は1人、渡日した学生がいます。今年の春学期は、昨年秋学期から法政に滞在していた33名と、渡航制限が出る前に来日できた5名の計38名の学生がオンライン授業を受けていました。先日、日本政府が国費留学生を入国させる方針を出しまして、10月に1人の学生が本学に来るため、受け入れに向けて準備をしています。また同月1日から、留学生の受け入れが解禁されるという報道がありました。現在海外から17名の学生がオンライン授業を受けていて、今後受け入れをどのようにするか考えている状況です。通常、交換留学生は毎年100名程度受け入れていますが、コロナで延期になっているため、来年の春に150名程度の来日を見込んでいます。大学としては、少しでも留学生の流動性を高めたいという思いがあります。まずはオンラインでの受け入れを進め、今後渡航できる状況になれば、より積極的に進めていきたいです」

 
 ―現在どのようなことを行っているか。
 「特に低学年に向けた情報を公開しています。現時点で具体的な留学プログラムを紹介するのは難しいですが、コロナが収束し、海外に渡航ができるタイミングがいつかは来るはずです。実際、1・2年生から留学に関する問い合わせが増えてきました。留学の制度やプログラムの紹介はしたいと考え、先日オンラインで説明会などのイベントを行いました。説明会の動画をユーチューブに掲載したところ、300人以上の学生が見てくれました。9月には派遣留学に行った先輩との座談会をオンラインで実施し、130人ほどの学生が参加しました」

 
 ―今後の海外プログラムは。
 「派遣留学については、来年の春・秋学期出発の留学は募集を行っていて、コロナの状況を見ながら判断して行っていこうと思っています。現時点で海外に行けない中でできることとして、オンラインプログラムの提供を考えています。来年の春休みは、短期の語学研修と国際インターンシップ・ボランティアについて、オンラインでプログラムが組めるところは大学の正式なプログラムとして提供しようと思っています。学部によっては、単位認定できるような制度を検討しています」


 ―学生へ伝えたいことはあるか。
 「現時点でそれぞれ置かれている状況や考え方は違って、なにが正しくてなにが正しくないのか判断することが難しい状態だと思います。今後は、自分のなかで選択肢を複数持ち、急な環境の変化にも対応できるようにした方がよい、という話は学生にいつもしています」

(小林真冬香)

★個別の面談
留学中に帰国を余儀なくされた学生に対して、帰国後の対応(授業履修、奨学金など)、帰国便、住居の解約、帰国後の就職活動などの相談を行った。留学前で渡航できなかった学生に関しては、渡航中止後の留学延期措置に関する質問、渡航中止と就職活動・大学院進学に関する相談など、キャリアも含めた相談も受けている。

【追加資料】YouTubeでの留学説明会URL
・派遣留学説明会はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=RM5KHx1dx5c&t=36s
・新入生向け留学プログラム説明会はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=G35gzcLkmOE

(コロナ禍の留学)①

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