多摩キャンパスの未来を考える

学生が止まりやすい場所に

2021年4月7日

 多摩将来計画委員会と小堀哲夫建築設計事務所が主催する、多摩キャンパス環境リデザインプロジェクトのワークショップが3月5日、オンラインで開催された。同プロジェクトは本学の長期ビジョン「HOSEI2030」に向けた多摩キャンパスの将来計画づくりを目的に始まったもの。これまでに二度開催されており、第3回となる今回が最後の開催となる。当日は本学の教授や学生がWeb会議システム「Zoom」を通じて集まり、多摩キャンパスの今後について意見を交わした。

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本学多摩キャンパスの4号館(社会学部A棟)と5号館(社会学部B棟)

 同イベントは、本学デザイン工学部の小堀哲夫教授と、同志社女子大学の名誉教授である上田信行氏の二人が進行を務めるワークショップ。今回は、キャンパス内の学生の居場所づくりをどう進めるかについて話し合った。 

 イベントの第一部では、参加者が「ストリート(キャンパス全体の道路)」「広場」「食堂」「総合棟」「大教室A棟」「EGG DOME」の6つのテーマから一つを選び、それぞれのグループに分かれて話し合った。 

 第一部のテーマは施設に焦点を当てたもの。話し合いの後には、各グループのメンバーが施設を利用する学生を演じながら話し合いの中で出たアイデアを共有する、演劇形式での発表が行われた。発表では、学生が気軽に宿泊できる施設を作る、足湯スポットを作るなど施設の利用方法や空間を生かした新たな試みが各グループから提案された。 

 第二部では、参加者が第一部とは異なるテーマから1つを選び話し合った。テーマは「語る・しゃべる」「食べる」「集まる」「安らぐ・泊まる」「交わる」「学ぶ・発信する」の6つ。第二部では学生の行動に焦点を当てた。

 

 第二部の後は、三人のゲストスピーカーが講演を行った。シリコンバレー発のフードベンチャー企業Coloridoh(コロリド)で活動する竹内ひとみさんは、自身が携わっている、カラフルなクッキー生地を使って親子で一緒にクッキーを作る体験を提供するプログラムについて話した。竹内さんは料理を通じた交流について話すことで、食を媒介にした大学の活性化という視点を提供した。 

 慶應義塾大学の量子コンピューティングセンターで特任准教授を務める鹿野豊さんは自身の留学経験を基に、キャンパスと街の境界について語った。鹿野さんは6つのプライベートホールを持ち内外の境界がはっきりしているオックスフォード大学と、道路に面した場所にキャンパスを持ち街に溶け込んでいるマサチューセッツ工科大学を比較し、大学の持つ開放的な側面と閉鎖的な側面について解説した。 

 梅光(ばいこう)学院大学の学院長と学長を兼任する樋口紀子さんは、学生が少なく経営が難しかった状態を抜け出し、経営を立て直した改革の内容や、教員と職員が協働できる学校を実現するために行った取り組みを話した。梅光学院が行った改革は、多種多様な海外実習・研修を希望者全員参加型で実施するというもので、これにより志願者は3倍、入学者は2倍にまで増加している。樋口さんは、小堀教授や上田教授と共に梅光学院大学の開学50年記念事業である新校舎の設立にも積極的に関わっていることを話し、場所が学びや働き方、人に大きな影響を与える、と空間設計の重要性を訴えた。 

 イベントの最後には、スペシャルゲストの田中優子総長がイベントの参加者にメッセージを送った。田中総長はリデザインプロジェクトに期待を寄せていると話し、コロナ禍の今だからこそ、大学は「行かなければならない場所」ではなく学生が「行きたい、居たいと思う場所」になる必要があると強調した。

(木村優吾)