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カルト宗教団体とは

学生を狙っての活動

2022年11月23日

 現在、新聞・テレビなどの報道でカルト宗教団体の活動が顕在化している。1980年代から活発に活動してきたカルト宗教団体はどんな団体であろうか。その実態と対策について本学学生センター長である齋藤勝先生に話を聞いた。 


身分を隠しての勧誘 
 以前はゴスペルコンサートなどを利用して勧誘していたが、現在では、ボランティアやSDGs(持続可能な開発目標)、就活といった身近なところから接近してくることが多くなっているようだ。地域のボランティア活動や学生主催とされるSDGsのイベント、学外の就活セミナーが、実はカルト系団体によるものだったというケースが他大学でも報告されている。そういった場で、まずは個人情報の交換をして学生に近づいてくる。人間関係を深めることによって、仲良くなり、その人間関係をやめづらくさせ、その後、ようやくカルト宗教団体の名を明かす。そして着々とマインドコントロールを進めていく。この勧誘のやり方については、カルト宗教団体を取材しているジャーナリストも指摘している。入信してしまうと、高い商品の購入や高額の献金といった金銭面でのトラブルだけでなく、宗教活動に没頭させられることでそもそも学校に来られなくなったり、単位を落として卒業できなくなったりするなど、学校生活に支障をきたすような問題も発生する。また友人や家族への勧誘を強いて、人間関係を破壊したりもする。
 
カルトは宗教だけではない 

 そもそもカルトとはなんだろうか。それは、人の心の弱さにつけこみ洗脳していくという特徴を持つ。宗教ではないが、マルチ商法も「お金を稼ぎたい」という誰しもが抱く心の弱さにつけこんでマインドコントロールを行っている。また、中国の文化大革命における紅衛兵やかつての連合赤軍に象徴される政治セクトも、若者の社会的不安や正義感、使命感、功名心につけこんでマインドコントロールを行っていた。そういった意味で、宗教だけではなく経済・政治の分野にもカルトは存在していると言えるのではないだろうか。
 

被害に遭わないために 

 こういったカルト団体に入らないためには、まず一切関わらないようにすることが最も簡単で最も有効な方法である。相手は言葉巧みに誘ってくるので、街中や校内で声をかけられても、知らない人であれば無視することが望ましい。仮に話をしても、個人情報は絶対に教えないようにしてほしい。また、もしある団体や活動に興味を持ったのなら、関わる前に良く調べたり、家族や学校の先生など信頼できる人に相談したりすることが大切である。一旦、入ってしまうと抜けるのは大変なので、常に用心深く、慎重に行動してほしい。 

 なお、カルト団体とされるものに入った学生がいたら、その将来について一個人として心より心配するが、個人の思想信条自体は自由であるのが原則なので、大学として干渉するところではない。しかし、学内の人間関係を利用した布教や勧誘、学外団体の学内での活動については、大学での生活・学習環境を大きく損なう危険性が高いため、大学としては一切認めていないので、注意してもらいたい。 
 

(聞き手 氏家大希) 

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