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パン再販で路上生活者支援

小さな仕事づくりと食品ロス削減

2022年4月5日

 市ヶ谷キャンパスから徒歩20分ほど、神楽坂駅近くのかもめブックス前が19時になると、賑わいを見せる。「夜のパン屋さん」の開店だ。ここでは、連携している各地の人気パン屋でその日に売れ残りそうなパンを仕入れ、再販している。

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夜のパン屋さん店舗。パンを求めて多くの人が並ぶ=高木康有撮影

<小さくても進んでいけること> 

 このパン屋さんの主催者は、NPO法人ビッグイシュー基金の共同代表である料理家の枝元なほみさんだ。ビッグイシューとは、ホームレスの人が路上で雑誌を販売し、一冊220円で仕入れて450円で販売する事業だ。売った人は仕入れ値を差し引いた230円を収入にできるようにし、自立を応援している。しかし、収入が不安定な上に、路上での販売が大変であることを枝元さんは販売を一種にして感じていた。 

そうした折に、「皆さんにお金を配るだけでなく、循環してお金を作るような使い方をしてくださるとうれしいです」ともらった大きな金額の寄付を元手に「小さくても何か進んでいけることを考えたい」と、夜のパン屋さんが始まった。この店は食品ロスの削減と同時に、ビッグイシュー販売員が仕入れと再販を担当することで、少ないながらも1日1000円~2000円程度の安定した収入を得ることができるようになった。 

 

<行政の支援を受けずに活動> 

 行政の支援を受けずに活動する理由について、枝元さんは「循環するためには利益を得て、それを配る形でやっていきたいと思う。 行政にお金を出してもらえば、お金を出してもらうのが仕事になってしまうこともでてくる」と語った。 

 

<キッチンの窓を開けて、社会とつながる> 

 「台所にいるとき、食材について考えること。日差しの温かさに気づくこと。でも、今日ごはんを食べられない人がいると想像すること。そうした具体的なことから幸福を感じたり、社会を変えていく力を得ることができる。社会を変えていく上で、社会のシステムを変え、トップダウンだけでなく、台所の窓を開けて社会とつながるようなボトムアップが必要」とも語った。 

 

<学生記者の目> 

 取材中、『任せて文句を言う社会から、一人一人がリスクを負って考えていく社会に変わるべきだ』(宮台真司)という言葉が、枝元さんの考えや活動の基礎にあることを何度も感じた。 

私たちは、政治、社会問題などについて「誰かに任せていればいい」と思いがちだが、それでは何も変わらない。それどころか、悪くなってしまう。だからこそ、小さくてもできることを行っていくことが必要なのではないだろうか。 

 (高木康有) 

 

<夜のパン屋さん店舗紹介> 

神楽坂カモメブックス前【火木金19時~】

田町駅スターバックス前【水木18時~】

飯田橋パークファミリア前【火17時~】

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