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図書館ガイダンス「ズーム」で

質問相次ぎ30分延長

2022年1月28日

 昨年12月20日、本学図書館の貸出・返却履歴照会サービスの学内者向けガイダンスがオンライン会議システム「ズーム」上で開催された。法学部教授2名による図書館の自由の説明ののち、図書館職員が新サービスの詳しい内容について説明した。その後の質疑応答は当初15分間の予定だった。しかしチャットのみならず音声による質問や意見が多く寄せられたため30分ほど延びた。参加した学生は約30名。

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ガイダンスは図書館の「お知らせ」欄で11日前に告知された

 法学部側の説明で建石真公子教授は、図書館には表現の自由や国民の知る権利を守る役割があり、そのためには「図書館の中立性」が不可欠だと強調した。貸出履歴からはその人がなにに関心を持っているかをある程度把握することができる。「大学図書館は、利用者のプライバシーの保護と内心の自由の保護を最優先に、誰もが安心して自由に図書館を利用できるように貸出履歴を扱ってほしい」

 同学部の浅見靖仁教授は読書記録を保存する他の方法として、大学が既に契約し、世界中で用いられている文献管理ツール「RefWorks」を提案した。このほかOPACで検索した本や論文のタイトルを自らのメールアドレスに送信して記録する方法などを紹介した。

 

 図書館は新サービスの検討を始めた経緯について「既に同様のサービスが他大学図書館や公共図書館で導入が広がりつつあることに加え、利用者から切実な要望もあった」と説明。サービスを使うかどうかの選択肢は利用者にあることを強調した上で「自身の読書記録の作成などに役立てて欲しい」と語った。

 法学部が懸念する利用者の個人情報について図書館側は、これまで捜査協力のために貸出履歴を第三者に提供した記録はなく、今後も裁判所の令状なしには提供しないと説明している。

 

 参加者からは、1102筆の反対署名に対する図書館側の見解について質問があった。図書館がサービス導入について正式に発表したのが昨年7月19日である一方、署名活動の開始は約1ヶ月前の6月1日だ。図書館側は、署名活動における「第三者への情報提供の可能性」などの懸念点が正しい情報に基づいていない可能性があると指摘した。

 図書館側は、新サービスを求める要望の件数をたずねられた際に「(反対署名の)1100件ほど集まっているわけではないが、たくさん集まっている」と回答。質問者から正確な数字を問われると図書館の記録に残っている公式な問い合わせは3件のみと認めた。しかし「カウンターなどで利用者から貸出履歴を残したい旨の要望が複数寄せられた」として理解を求めた。

 

 参加した教員からもチャットで質問が出た。「案を練り上げる段階で利用者の大半を占める学生の意向をなぜ聞かなかったのか」

 図書館は「サービスに関して、全学生を対象とした事前の希望アンケート等は実施していないが、学部長会議での意見聴取と審議という適正な学内手続きを経ている。加えて、サービスの利用を希望しない学生等はこれまでと全く変わらない環境で図書館を利用できることから、問題はない」との認識を示した。

 反対署名の発起人である法学部3年の橘内優一さんは、今回のガイダンスについて「質疑応答で、私たちが提出した署名に対して返答をしていただきたかった旨伝えたところ、奥西好夫図書館長からは『そう言われればそうだったかもしれない』との返事であまり誠実に署名を受け止めていないのではと感じた」と振り返る。

 

 ガイダンス動画は1ヶ月後の1月20日に法政大学図書館のホームページ上の「重要なお知らせ」(https://www.hosei.ac.jp/library/important/article-20220119101111/)欄に公開され、学外者も閲覧できるようになっている。

 

 ガイダンスでの質疑応答は当初15分と予定されていたが、当日は質問が多く約50分間に延長されたことで、図書館側からは説明を尽くそうとする姿勢がみえる。今回のサービスに限らず、新しい制度を導入する際、大学は学生の不安解消に向けて積極的に説明することが今後も求められる。

(濱田倫誠)

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