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​学名に「ツイッター」で話題

SNSでの新種発見促す

2021年 11月 8日

今年3月、ツイッターで投稿された写真をもとに法政大学自然科学センター・国際文化学部の島野智之(さとし)教授が、ハマベダニ属の新種「チョウシハマベダニ」を発見した。島野教授は今回の発見について「これをきっかけにより多くの人が新種発見に興味を持ってほしい」と話したうえで「SNSを通じた新種発見が、絶滅危惧種を保全するうえで重要になる」と語った。 

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法政大学自然科学センター・国際文化学部の島野智之教授

=写真は本人提供

 千葉県銚子市で釣りをしていた会社員が2019年5月にツイッターで投稿した写真を見て、島野教授が今年3月にハマベダニ属の新種を発見した。ツイッターの投稿を通じて新種の動物が発見されたのは今回が世界初。 

 

 島野教授の研究チームは19年に北海道でハマベダニ属の新種を発見しており、今回の発見まで北海道より南の地域ではハマベダニ属が発見されていなかった。偶然このツイートを見つけた島野教授は既に存在する種とのかたちの違いに気づき、すぐに投稿者へメッセージを送ったという。発見された本属の新種には「チョウシハマベダニ」という和名と「アメロノトルス・ツイッター(Ameronothrus twitter)」という学名をつけた。 

 

 学名にTwitterとつけたことについて島野教授は、SNSを利用した新種発見を今後より活発化させる狙いがあったという。地球上に870万ほど存在する生物種のうち、現在学名がつけられているものは約122万種おり、絶滅の可能性がある種は100万種以上いる。島野教授は、絶滅危惧種を保全するためには他種と区別できるよう学名をつけなくてはならないと指摘し、このままでは学名がつけられないまま絶滅していく生物種が出てしまうと警鐘を鳴らす。

 

 未発見の生物種に学名をつける速度を上げるためには、SNSなどを通じて一般市民や愛好家から協力を得ることが必要になる。一般市民の協力によって進められる昆虫や動物の新種発見は、まだメジャーな動きではない。島野教授は「今回の発見を契機にこうした動きが広まっていくことを期待している」と話した。 

 

 SNS上に存在する膨大な情報の中には、まだまだ未知の生物情報が大量に埋もれていることだろう。道端で出会った見慣れない生き物や、家の近くで見つけた不思議な植物。ちょっとした発見のつもりで投稿した写真が、数年後の大発見へ繋がる可能性もある。

(木村優吾)

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