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法政大学生による迷惑行為について

 6月7日に外濠公園で泥酔事件があった。学生センターによると、詳しいことは分かっていないが、10人程度が15時頃から白昼堂々飲酒をしており、そのほとんどが未成年だったという。19時頃、学生センターにセブン前に病人がいますとの連絡が入り駆けつけると、実際は酔っぱらった学生で、それも千鳥足になりながら道路を端から端まで蛇行していたそうだ。ついで19時20分頃、「警察が外濠公園に来ている」という連絡が再び入った。現場には、警察官2人と泥酔した学生が4人いて、そのうち1人は意識がない状態で、4人とも未成年だった。警察には、この時すでに10件以上の通報が入っていたそうだ。

 昨年までも外濠公園付近では飲酒問題が相次いで発生していたが、ここまで多くの未成年者が組織的に関わっていたことはなく、学生センターの職員も驚きを隠せない様子だった。

 外濠公園でのこのような飲酒騒ぎは日に日に悪化している状態で、近隣からの苦情も多い。目の前が住居や病院とのこともあり、余計に深刻な問題だ。学生センターの一部職員は、近隣からの苦情や飲酒騒ぎの対応に日々追われている。「飲酒騒ぎを取り締まるために職員になったのではない。学生に向けてポジティブなサービスをするために職員はいる」と語る。

 泥酔者の対応をしている時に厄介なのが、注意したら暴力に訴えてくることや平気で嘘をつくことだそうだ。さらに、お互いを知らない複数のグループが混在して飲酒していることもあり、意識のない学生の名前すら分からないという事態が発生し、病院への搬送が遅れることもしばしばあるという。こういったことが、外濠公園付近での飲酒に対して学生が何かしらの活動をすることのできない要因のように思う。また、救急車や病院の中で暴れることもあり、泥酔者の受け入れを嫌がる病院も少なくないそうだ。

 市ヶ谷キャンパスにおける飲酒の禁止は2011年度より始まるが、花見シーズンを除き、外濠公園等の大学付近での飲酒問題がここまで深刻化することはなく、現場のような状況になってきたのは、ここ2,3年のことだそうだ。では、その変化の原因は何なのだろうが。その答えは、2014年10月のサクラテラスの開業に求められるのではないかと思われる。かつて、大学付近はオフィスが中心で、居住者はほとんどいなかったため、現在のような苦情は出にくかった。また、サクラテラスにローソンができたことで、身近にお酒を買える場所ができたのである。そしてローソンも外濠公園も、ちょうど居酒屋がある神楽坂あたりから大学までの動線上にあり、2次会を行うのに好都合な場所となった。

 では、先に見てきたような飲酒問題の現状を解決するには、どうすればいいのだろうか。学生センターの職員は、「抜本的な解決は難しく、個別に対応していくしかない」と言う。「それは場当たり的な対応に終始するという意味ではない。私たちが期待しているのは一人一人への対応の積み重ねにより、飲酒問題を起こすグループの中に1人でも2人でも飲酒をめぐる問題について理解する人が増えていくことである。また全ての学生にこれまでどういう事件があったかを知ってもらうこと、さらに飲食のはらむ危険性を具体的に認識してもらうことも大切だ。そうして学生たちの中に飲酒問題について話し合わないといけないと雰囲気が生まれてきたら、深刻なトラブルを回避する力が生まれるのではないだろか。」

 たとえ各人にとって1年に1回ほどの外濠公園での飲酒であっても、それが積もっていけば山となる。大学付近に住んでいる人たちには、飲み騒いでいる人を「ある一人の個人」としては見てくれない。「法政大学の学生」というグループとして見ているのだ。そして、大学祭が騒々しいものになったとしも、1年に1回のことと思えば大目に見てくることもある。しかし、住民の間に日ごろのうっぷんが溜まっていれば、そうともいかないだろう。このことを肝に命じておくことが必要だ。

 そして何より、飲酒問題は学生センターの問題ではなく、私たち学生の問題である。飲酒問題に限らずあらゆるモラルの低下について、自分は大丈夫考えるのではなく、もっと学生一人一人が危機感を持って真剣に考えるべきではないのだろうか。そうすれば、外濠公園付近での飲酒についても、避けるべきとの雰囲気が学生全体の中に醸成されていくのではないだろうか。学生センターの職員は、「大学側の注意でやめるのではなく、学生の中でやめようという雰囲気ができ、学生間の力で自発的にやめていくことが望ましい」と語った。大学生であれば「ほぼ大人」と言って良いだろう。にもかかわらず、飲酒のことまで他人に尻拭いしてもらわなければないない状況は、恥ずかしいもののように感じてならない。

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