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法政大学と軍事研究

 法政大学は1月18日に行われた常務理事会において「法政大学における研究の推進と学外機関等との研究活動・研究交流に関する指針」及び「学外資金によるデュアルユース(軍民共用)研究費への応募について」を決定した。

 研究に関する指針は2016年4月1日に発表された法政大学憲章の精神を踏まえ制定された。

 憲章の精神を反映させたミッションに掲げられた研究推進の使命を達成するため、国内外問わず、研究活動・交流を促進。学外機関とこれらを進めるにあたり、大学の基本姿勢を明確化した指針である。

 指針制定の背景は2014年から本学が取り組んでいる長期ビジョン「HOSEI2030」にある。ビジョン策定に先駆けて、法政大学憲章が策定された。憲章が掲げる「約束」である「自由を生き抜く実践知」。本文に記されている「持続可能な社会の未来に貢献」。これらの精神が反映された。

また、大学、研究機関を取り巻く日本社会の変化が影響を与えている。

 大学に対する国の補助金削減や研究不正による社会からの厳しい視線。その中で研究が厳しい立場に置かれている。加えて、安保法制や安全保障技術研究推進制度などの平和をめぐる日本社会の変化である。★憲章、日本社会の変化を背景に制定された指針には「軍事研究や人権抑圧など人類の福祉に反する活動は行わない」と定める。この文言を具体化したのが「学外資金によるデュアルユース(軍民両用)研究費への応募について」である。

 これは主に防衛省による競争資金制度である「安全保障技術研究推進制度」への応募を「当分認めない」としたものである。しかし、その他の制度については応募の可否について常務理事会で個別に判断される。

 一部の軍事研究を「当分行わない」方針を固めたことに対して田中総長は「戦争を目的とした武器等の研究・開発は、本学が使命とする持続可能な地球社会の構築の対極にあり、関与するのは、本学の存立基盤を揺るがすことになるとコメントを出した。(吉村瞬)

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