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田中総長インタビュー

 二〇一六年一一月、田中優子現総長が信任投票の結果再任され、二〇一七年度から四年間、総長として二期目を迎えることが決定した。今回新聞学会は、田中優子総長にお忙しい中お時間を割いていただき、お話を伺うことが出来た。

 まず伺ったのは法政大学の総長として務めた一期目の感想と成果についてである。田中総長は成果として、長期ビジョンであるHOSEI2030の策定とSGU(スーパーグローバル大学)に採択されたことを挙げた。また、田中総長が学外での情報発信を精力的に行ったことによって、大学の知名度も上がり、法政大学が「就職に力を入れている大学ランキング」(週刊東洋経済)の三位(前回七位)にランクインすることができた。また、受験者数も全国二位の一一万九二〇〇人と過去最高を記録した。田中総長はこれらの成果について、「大学に関わる全ての人達のおかげでここまで成し遂げることができた」と話す。

 そして田中総長は、この一期目の流れを受けて、第二期総長の一年目となる二〇一七年度の目標についても話してくれた。今年度はSGUの中間評価の年である。また、二〇一九年度に実施予定の大学基準協会による認証評価の準備期間として、これまでの成果が客観的に問われる一年となる。田中総長は「評価に耐えうる体制を整備する一年にしていきたい」という。田中総長の下でさらなる発展を遂げてきた法政大学の「今」がどう評価されるのかは楽しみにしたいところである。また、短期の目標として田中総長は次の二つの目標を挙げた。一つは二〇二〇年度に終わる五五・五八年館の工事において事故の無いように進めるということだ。現在工事のまっただ中にある市ヶ谷キャンパス。一部大学内が狭くなっているところもあるが、まずは、二〇一九年四月から授業で使用予定である南棟(仮称)の完成に向けて安全に工事をすすめてほしい。そしてもう一つの目標。それは留学生支援の充実である。田中総長は「これからは短期留学ではなく、四年間法政大学で学び、卒業して日本の企業への就職を目指す学生も増えてくる」と話す。そして、「そのような学生の中には全く日本語を話せない人達もいる」と言う。そこで田中総長は、そのような学生達がただ英語で卒業するだけでなく、日本語と日本文化をしっかりと学べるような大学の教育システムを作っていきたいという。そして私たち学生に対しても、「留学生に気軽に英語で話しかけ、コミュニケーションを取ってもらいたい」と望んでいる。それは、全学生にとって大学を活気のある学び舎にするためだ。小さなことかもしれないが、田中総長は「グローバル化は毎日の地道なところから努力をしていくことが大切だ」という。グローバルと聞くと、どうしても構えがちになってしまうが、総長の言うように、小さなことから変わっていくことが自分にとってもプラスになるだろう。

 そして次に、総長が考える法政大学と法政大学の学生にしかない強みを聞いた。この質問をして真っ先に総長の口から出たのは、「自由」という言葉である。法政大学は学生に、自分で考え、物事に主体的に関わっていくことを推奨している。二〇一四年に新しく作られた大学憲章の標題にも、「自由を生き抜く実践知」という言葉がある。これはブランディングをする中で行き着いた法政大学らしさをピタリと言い表す言葉なのだと総長は言う。フィールドワークやボランティアなど、学外の学びも行うことで、理想を持った現実的な知性を持ち、自分が学びたいと思ったことに対して自主的に学んでいけるのが法政大学の学生なのだ。そして「この精神の元で学んだ法政大学の学生は、人と何かを比べるのではなく、自分の生き方を貫き、夢をつかみ取る能力や勇気があると思う」と総長は言う。

 また田中総長はこれからの法政大学について、「さらに自主的に、そして能動的に学生が授業に参加し、学べるような仕組みを持った大学にしたい」と語った。二〇一八年度から始まる一〇〇分授業では、大教室の授業でもディスカッションの時間を大切にする授業にしたいと総長は話す。それは、自分の考えを持ち、発信していく能力を育てるためだという。アクティブラーニングといって、学生が能動的に授業に参加することが求められている現在、一〇〇分授業の中で行われる予定のディスカッションが学生の学びの中で大きな役割を持つことは間違いないだろう。

 そして最後に、今年の新入生へのメッセージを伺った。「自信を持ってください」これが総長の口から出た新入生への強いメッセージである。「法政大学に入学する学生は大きく分けて二つのタイプがある」と総長は話す。それはつまり、法政に第一志望として入学した学生と、不本意ながら入学した学生、ということである。しかし、どちらにせよ、法政大学史上最高の受験者数の中から選ばれた優秀な学生であることに間違いない。総長は「総長として、どのような学生でも自信を持てるような大学を作っていきたい」と話す。「自己肯定感は自分の力を発揮するうえでとても大切」総長のメッセージ通り、新入生には自信を持って入学し、法政大学の学生として充実した四年間を過ごしてほしい。(岩澤歩加)

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