教えて加藤先生(第2弾)

~ラニーニャ現象が日本の冬に与える影響~

2020年12月16日

 近年、地球温暖化が私たちの暮らしに大きな影響を与えている。今夏、連日続く猛暑に「命に関わる危険な暑さ」や梅雨末期の豪雨による特別警報では「命を守る行動」がキーワードとなっており、これらは地球温暖化が一因とされている。他方で、今年の冬はラニーニャ現象により例年に比べ寒くなると言われている。そこで、元気象庁函館海洋気象台次長で本学文学部地理学科兼任講師の先生に、気象状況を解説してもらう。



 今年の冬の寒さとその原因

 気象庁の3か月予報によると、今年の冬の気温は、北日本では北からの寒気の影響が弱いため、平年並か高く、東・西日本と沖縄・奄美ではほぼ平年並か低くなる見込みです。特に1月の西日本は寒気の影響を受けるため低温となる予想です。これは、エルニーニョ現象とは逆のラニーニャ現象が続く可能性が高いためです。ラニーニャ現象では、第1図のように通常よりも東風が強まることにより、太平洋の海面水温は中・東部赤道域では低い一方、日本の南の西部熱帯域で高くなり積乱雲の発生が多くなります。

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【第1図】エルニーニョ現象、ラニーニャ現象|気象庁HPから引用http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html
【第2図】ラニーニャ現象による大気の模式図|気象庁HPから引用https://www.jma.go.jp/jp/longfcst/pdf/pdf3/001.pdf

【第1図】エルニーニョ現象、ラニーニャ現象|気象庁HPから引用http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html
【第2図】ラニーニャ現象による大気の模式図|気象庁HPから引用https://www.jma.go.jp/jp/longfcst/pdf/pdf3/001.pdf

 このラニーニャ現象による日本への影響について、図を用いて説明します。第2図おいて、ラニーニャ現象に伴い日本の南の西部太平洋熱帯域で海面水温が高くなり、インドネシア付近では積雲の対流活動が平年よりも活発になります。その結果、フィリピン東方沖から南シナ海付近の大気上層に位置する高気圧が、その北西側で強まることになります。この高気圧の強まりにより偏西風が蛇行し、日本付近では南に蛇行するようになり、大陸からの寒気が日本付近に流れ込みやすくなります。特に、シベリア高気圧は南東側で強くなることにより、東日本以西に寒気が流れ込みやすくなります。一方、北日本では低気圧の影響を受けやすく、寒気の影響を受けにくい見込みです。


 このようにラニーニャ現象が続いた場合は、厳冬となる可能性があります。前回ラニーニャ現象が発生した2017~2018年の冬は、日本付近に強い寒気の流れ込むことが多かったため、全国的に気温が低くなり、特に西日本では 32 年ぶりの寒い冬となりました。北陸地方では2月上旬に北陸豪雪や福井豪雪と呼ばれる記録的な大雪となりました。関東でも1月22日から23日には本州南岸を通る低気圧により記録的な大雪となり、東京では22日に積雪23㎝を記録し、交通網がマヒするなど社会生活に大きな影響があったことは、記憶にあるかと思います。


 現在、地球温暖化の影響により、地球全体で大気の温度が高くなっていますが、ラニーニャ現象が発生すると冬の旬ごと(10日毎)の平均気温は約1度近く低下しています。そのため、今年の冬は例年より寒くなるので体調管理には十分に気を付けて下さい。



 寒い冬に気をつけておいた方がいいこと

 月別に見た溺死の年変化は意外かもしれませんが12月、1月がピークとなっており、その一番の原因は入浴中にみられます。入浴時の死亡は年間約2万人近くに達し、交通事故の5倍にもなっています。原因としてよく言われるのが風呂場と脱衣所の温度差が引き起こすヒートショックです。これは急激な温度変化による血圧や脈拍の変化によって意識を失って湯船に沈み、死に至ることが考えられます。対策としては、特に高齢者は入浴前に脱衣所や浴室を暖めておくことや浴槽から急に立ち上がらないことなどがあります。



 最後に特にコロナ禍の今だからこそ学生がやっておいた方がいいと思うこと等、先生からのメッセージ

 今はオンライン授業が多いため、通学の必要がないなど時間に余裕があると思いますので、沢山の本を読んでください。また、インターネットでは新聞社や関連学会などで多くの無料オンライン講演会を行なっていますので、検索して興味のある分野以外もできるだけ見るようにして、知見を広めて下さい。現在はコロナ禍で皆さんはこれまでに経験したことのない状況になっており、更に今後はデジタル技術が格段に進歩するなど社会は大きく変わろうとしています。皆さんが社会変革に耐えうるようになるためには、様々な情報を得て対応することが必要です。

最後に、私の講義の観点からコロナ禍で自宅にいることが多くなっているので、環境問題に興味を持っていただきたいと思います。食品ロスや省エネ、環境に関するニュースなど生活の中で実感する身近なことを通じて持続可能な社会について考えることを期待します。

(三浦エリカ)