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新システム導入 3月以降

法学部 利用者への説明求む

2021年9月11日

 6月10日の学部長会議で、図書館側が提案した新システムの導入が条件付きで承認され、来年3月以降に貸出履歴の照会が可能となる予定だ。反対は依然として法学部だけだった。プライバシーポリシー案の修正と、貸出履歴を保存するリスクについて利用者ガイダンスで説明することの2点には図書館側が同意した。利用者ガイダンスの案は法学部教授会が作成する。

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法政大学図書館(80年館)=濱田倫誠撮影

 導入決定前に法学部の教授へ取材した。日本国憲法第13条「個人の尊重」にもとづくプライバシー権(人格権)ついて図書館側の認識が不十分と話す。「図書館は誰もが他者に干渉されずに本を読める場を提供し、個人の人格形成に貢献してきた。貸出履歴が保存されることで、利用者が本を借りることをためらう可能性があり、個人の人格権や内心の自由などは守れず、図書館の存在意義を大きく損なう」 

 希望者のみが保存できる「オプトイン方式」であれば問題ないとする図書館側の主張に対し「インフォームド・コンセント(十分な説明を受けた上での合意)の観点から見れば、自己決定を利用者に求める場合はリテラシーを図書館側が時間をかけて説明しなければならない」と苦言を呈した。 

 本来であれば、図書館が学生や教員に丁寧に説明し、図書館が人間の歴史のなかで持ってきた意義や、システム導入に伴う人権上の不利益について十分理解したうえでの決定により、進められるべきだった。 

 最後に、学生に対し「法政大学の自由な気風が制約されるかもしれないという意識を持って、図書館とは何かを自ら調べ、考えてほしい。またシステム変更についての要望を図書館に伝えるなど、図書館を学生も一緒に作っていく、という取り組みを期待したい」と語った。 

(濱田倫誠) 

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