(オレンヂスチューデンツ)

法学部政治学科3年 尾舘祐平さん

尾舘祐平さん

 政治家には何が必要か。自分はどんな政治家になりたいか――。日々、あるべき姿を追求する本学の学生がいる。法学部政治学科3年・尾舘祐平さん(23)。市民団体の代表を務めるなど活発な日々を送る。大学卒業後のビジョンは、さいたま市議を務めた後、同市長になることだ。

尾舘さんが政治家に関心を持ったのは小学2年の頃。身体のよくなかった母が道を通りづらそうにしていたのを機に、道の整備には地元の市議の活動が欠かせないと知る。そして、地元の政治家になって身近な人を笑顔にしたいと考えるようになった。

さいたまの未来を面白く

大学1年だった2018年10月、さいたま市を拠点に埼玉県全域を活動地域とする市民団体、さいたま市若者会議を設立。「みんなで街について勉強できるような、街に関われるような入り口が欲しかった」と尾舘さん。地元のことをもっと知りたいという思いが、組織の設立につながった。
立ち上げメンバーをフェイスブック上で募ると、高校生から40代までの男女18人が呼び掛けに応じた。だが、集まった18人の目的は十人十色。「大人と関わる機会が欲しい」高校生や「ママ友の会を作って地域になじみたい」女性、「同世代と政治について話し合う場が欲しい」という大学生もいた。尾舘さんは視野を限定せず、「『飲み会やっています』『集まってみました』だけでも埼玉のためになる。地域活性化の方法はいくらでもある」と考え、18人全員と活動を始めた。
メンバー全員で話し合って決めた組織のビジョンは「さいたまの未来を面白く」。同市に新たな当たり前を作り出そうという思いが込められた。組織の活動は、ビジョンに沿っていれば何でもいい。
同市の未来を考えるにあたって尾舘さんは、その過去にも目を向ける。「先人たちが苦労して整備した今の地域を、私は生まれた時から手に入れている。それを大切にするのはもちろんだし、より良い形で後世につなげていかねばならない。自分もいつまでも若者ではない」。
若者会議での尾舘さんの活動を支えるのは、強い使命感と熱い「さいたま愛」だ。「東京はモノが溢れているし、さいたまからは30分で行ける。だが、さいたまでできることはたくさんある。魅力がないと思われがちだが、掘り下げれば先進的なことをしている人が多い。昔から続いている伝統的なものもある。もっとさいたま市を営業しなければならないし、発信・問題提起できる人になりたい」。

さいたま市若者会議のホームページ

焦りから見えてきたもの

尾舘さんが本学に入学したのは高校卒業後の15年4月。だが1年間休学し、16年3月に退学。18年4月に再入学した。1度目の入学から再入学までの3年間、尾舘さんは営業代行のベンチャー企業で働いた。
高卒で就職したのは自らの意思。高校生当時の尾舘さんには、一種の焦りがあった。「(統一地方選の実施年と25歳から被選挙権が得られることを踏まえて)26、27歳には市議にならないといけない。当選するには、地盤(組織・人脈)・看板(知名度)・鞄(お金)が必要。うち、人脈とお金はどのような人が持っているかといえば、経営者だと思った。だからまずは、起業できるような会社に行こうと考えた。中卒・高卒の政治家はいくらでもいることも知っていた」。将来像から逆算し、就職することが自分に必要だというのが当時の判断だった。親や担任の反対を押し切っての決断だった。
起業を目指す18歳の思いを受け入れる企業と巡り会えたことも、当時の尾舘さんには幸運だった。就職が決まると、仕事が合わない場合の備えと、就職に反対する親との妥協点として尾舘さんは、本学へも入学し、休学届を出した。

 

 

企業では、世の荒波にもまれる。入社式の翌日に福岡へ配属され、ビジネスホテルでの孤独な生活を送る。新人研修はほとんど無く、すぐに現場に出た。それでも、自分で選んだ道だ、と試練を糧に自身を奮起させた。入社3年目にはビジネススクールに通い、社外の人と交流した。
尾舘さんは今、当時を振り返り、営業での泥臭い経験を政治家の仕事と結びつける。「人との接し方、自分の売り方、継続することの意義を知った」。また「営業の仕事は、いかに相手を幸せにできる提案ができるか。政治家も、有権者に響く言葉や有権者の生活をいかに豊かにできるかを考えたり提案したりするところは営業と同じ」。
やがて、企業やビジネススクールでの活動を通じ、政治家を目指す中での自身の課題が見えてきた。「自分はまだまだ知識も経験も足りず、実行力が無い。政策についてもっと勉強する必要がある」。そして本学に再入学した。

 

営業と政治家

法大生になって

現在、尾舘さんは3年生。ゼミや授業での学習はもちろん、学外での多岐に渡る活動も活発に行う日々だが、「まだまだ足りないと思っている」と話す。卒業後には同市議選へ出馬するつもりで「大学4年間で公約を作りたい。試験があるのと同じで、絶対そこに間に合わせないといけない」と決意を示す。
学外での活動は、若者会議での活動のほか、今年の2月には地元・さいたま市岩槻区で開かれた、同市主催のリノベーションスクールに参加。他の受講生やアドバイザーとともに、街の空き物件(遊休不動産)の活用法を考え、実地調査などを通してリノベーション事業計画を立案した。今後は他の受講生とともに家守会社を作り、シェアハウスやカフェなどの事業を展開する予定だ。
尾舘さんは最近また、埼玉の良さを感じたという。「地元で見つけた飲み屋のママがすごくいい人で、心が温まった。人と関わることで初めて、地域の雰囲気が感じられる。(埼玉を)今まで寝るだけの街と思っていたのがもったいない。なんとなく好きだという人やファンになってくれる人が、一人でも二人でも増えればいい」と埼玉の魅力を丁寧に語った。

(髙橋克典)

おだて・ゆうへい さん 

1996年さいたま市生まれ。現在、本学法学部政治学科3年、廣瀬克哉ゼミ所属。さいたま市若者会議代表、NPO法人岩槻まちづくり市民協議会理事、令和元年度・2年度さいたま市市民活動推進委員ほか。

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