また、アプリをインストールしなくてもブラウザ上で電子書籍を閲覧することは可能だ。しかし、アプリで閲覧した方がブラウザ上で閲覧するよりもはるかに優位性がある。まず、アプリで閲覧すると、しおり・マーカー機能を使うことができ、ページのめくり方の変更や、文字の色の変更もできる。後者に関しては文字を用いた学習に困難を抱えるディスレクシアと呼ばれる人々や視覚や動作にある種の障がいを持つ人々に対する対応策の一つとしても活用できる。さらに、複数の本棚を作成できるため、書籍の整理が容易だ。この他にもアプリでは様々な機能を利用することできるため、アプリをインストールすることを強く推奨する。


以上が大まかな「KinoDen」の使用方法だが、いくつか注意点がある。第一に、学外でも「KinoDen」を利用して電子書籍を探し、閲覧するためには、VPN接続(※)という操作をする必要がある。ただ、すでに「bREADER Cloud」にダウンロード済みの電子書籍に関してはVPN接続をしなくても閲覧することができる。また、学内であれば、すぐに利用することができる。


第二に、本学の「KinoDen」における電子書籍の同時アクセス数は主に1のため、自分の読みたい書籍を他の誰かが閲覧していた場合、その人がアクセス解除するまでアクセスすることができない。ただ、一度アクセスをした後、15分以上何の動作も行われなかった場合、自動的にそのアクセスは解除される。


「KinoDen」が本学図書館で導入されたきっかけは、大学の図書館全体が入館者数と貸し出し数の減少という問題に直面しているためだ。また、電子書籍は、利用履歴が保存可能で持ち運びも楽なため、読書のためだけではなく、学習支援ツールとしての価値が高まってきていることも背景にある。加えて本学では、デザイン工学部や小金井キャンパスにある理工系の学部の要望を受け蔵書を増やすという計画が持ち上がった。そして小金井図書館が本格的に電子書籍の導入を進めることになったため、これを契機として全キャンパス図書館で一斉に電子図書館サービス「KinoDen」の利用が始まった。そのため、「KinoDen」から購入した電子書籍は、資格書や理工系の書籍が多い。しかし、TOEICなどの語学関係の書籍も数多くある。また、就活に関する書籍も閲覧することができるため、文系の学生や就活生も「KinoDen」を利用する価値は十分にある。このように、まだ冊数は多くない一方、多種多様な電子書籍があるため、様々な目的を持った学生が利用できるようになっている。


「KinoDen」の本学における利用状況については、各キャンパスの利用統計はなく、学内全体の利用統計しか明らかでないが、2019年5月1日から2020年2月14日までの約9ヶ月間でWeb閲覧、アプリ閲覧、試し読みを含めて合計3903アクセスを記録している。1日平均に換算すると、13.5アクセスになる。ただ、この数字には多少の誤差がある。なぜなら各キャンパスで紀伊國屋書店の社員が実施した「KinoDen」の利用講習会の後には飛躍的にアクセス数が伸びているためである。しかし、毎日一定のアクセス数を記録しており、徐々にではあるが「KinoDen」が本学の学生に受け入れられている。また本学では、TOEICの対策本や、Pythonを始めとするプログラミング言語に関する書籍、情報技術者試験の参考書のアクセスが多いことも今回の取材で明らかになった。電子書籍を単なる読書のためだけではなく、勉強面にも役立てようとする学生が非常に多いことがこの結果から分かる。今後、図書館では「KinoDen」で閲覧できる電子書籍の冊数を増やしていくものと思われる。直近では主にIT関連の書籍を発行している翔泳社の電子書籍約170タイトルが追加された。


しかし全ての書籍を電子化すれば良いというわけではない。確かに電子書籍は非常に便利であるが、紙の書籍より全ての面で優れているとは言えない。例えば、紙の書籍は無くしさえしなければ電子書籍よりも保管性が高い。また、その内容が電子書籍よりも頭に残りやすいという実験結果も出ているため、便利だからと言って電子書籍に全幅の信頼を置くのではなく、電子書籍と紙の書籍を、自分のライフスタイルや勉強法に合わせて上手く使い分けることが非常に重要だ。

(竹田佳悟)

 

※VPN接続

インターネット上に仮想の専用線を設定し、特定の人のみが利用できる専用ネットワークのこと。詳しい設定方法に関してはブラウザ上の「法政大学 全学ネットワークシステム ユーザ支援WEBサイト」を参照する。

新たな学習法の確立へ

電子図書館サービス KinoDen

市ヶ谷キャンパスでの説明会の様子

=紀伊國屋書店提供

紀伊國屋書店が提供する電子図書館サービス「KinoDen」の運用が2019年度より本学の全キャンパス図書館で一斉に開始された。図書館は紙の図書だけでなく電子書籍の利用も促進するため「KinoDen」から約1000冊の電子書籍を購入し、本学学生や教職員であれば誰でも利用できるようにした。

多摩キャンパスでの説明会の様子

=紀伊國屋書店提供

学内での電子書籍の認知度は高くない。ここで「KinoDen」の基本的な機能や使い方を説明する。まず、ブラウザから本学の「KinoDen」のサイト*にアクセスし、読みたい電子書籍を探して「My本棚」に登録する。登録した電子書籍を読むためには、ブラウザ上の「KinoDen」のサイトで自分のアカウントを作成し(初回利用時のみ)「KinoDen」と連携しているアプリ「bREADER Cloud」をスマートフォンにインストールした上で、作成済みのアカウントでアプリにログインする必要がある。そこで「My本棚」にある本をアプリにダウンロードすればいつでもどこでも電子書籍を閲覧できる。

「KinoDen」の使い方

 リンク 

本学の「KinoDen」のサイト

https://KinoDen.kinokuniya.co.jp/hosei_u/

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