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多様化への向き合い方を考える

朝日教育会議2019in法政大学

11月30日、本学市ヶ谷キャンパス(東京都千代田区)さったホールにて「朝日教育会議2019」(朝日新聞社主催、本学共催)が開催された。テーマは、グローバリゼーションforダイバーシティ。目指すべき真の多様性の姿と、それを担う大学教育の役割についての議論が行われた。本フォーラムは三部構成で、第一部は本学の田中優子総長による基調講演、第二部は本学卒業生で元陸上選手の為末大(ためすえ・だい)氏と、東京大学特任教授で社会活動家の湯浅誠(ゆあさ・まこと)氏によるプレゼンテーション、第三部は一・二部の登壇者によるパネルディスカッションが行われた。会場は参加申し込みを行った一般参加者でほぼ満席となった。

画像_朝日教育会議第三部_法政大学新聞学会

パネルディスカッションの様子。

左から田中総長、為末氏、湯浅氏​=田谷泉撮影

同フォーラムの第一部では、田中総長が「歴史から見る多様なグローバリゼーション」と題し、基調講演を行った。田中総長は、本学がグローバル化と共に、2016年の「ダイバーシティ宣言」を契機に様々なダイバーシティ化への取り組みを進めてきたとし、その重要性を訴えた。また、田中総長はグローバル化を支配・権力型、共存型、流通・流動型の三つに分類し、多民族同士で格差や差別、蔑視が存在する支配・権力型へ傾く現状を慨嘆した。その上で支配的なグローバル化は文化を破壊すると述べ、グローバル化はダイバーシティのうえに成り立つと強調した。


第二部では、為末氏と湯浅氏によるプレゼンテーションが行われた。為末氏は、ダイバーシティの進んだ社会における自己同一性の重要さを述べた。同氏は、他者との比較の中に自分の個性を見いだす様子を陸上選手時代の自分と重ね合わせ、多様な人種との交流は自分自身の理解につながると語った。他方で、湯浅氏はダイバーシティが社会に浸透しても、実際に人々が良い関係を築けるかどうかは別問題だと指摘。このままダイバーシティ化を進めても、異なる思想や外見を持った人々との会話や接触を避けてしまうことが想定されると話した。同氏は「令和はインクルージョン(配慮)の時代」だとし、グローバル化には状況を踏まえた他者への配慮が必要になると呼びかけた。


第三部では、朝日新聞の教育コーディネーターである一色清(いっしき・きよし)氏を進行役に迎え、田中総長、為末氏、湯浅氏によるパネルディスカッションが行われた。ディスカッションでは、ラグビー日本代表選手の多様な出身についての肯定的な世間の声や、各自の考えを構成した経験や家族との関わりなどについて話し合われ、議論を深めた。現在の社会は、他国や自分とは異なる他者を「排斥」する傾向もあるが「配慮」に支えられた多様化を目指すべきであり、そのためには私たち一人一人が自分を知り、行動することが大切であるという認識を共有した。
 

朝日教育会議は社会課題解決を目指す連続フォーラムで、本学の他に13の大学・法人が共催している。 (木村優吾・田谷泉)

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