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機能拡充進む電子掲示板

運用は富士見校地限定、拡張なるか

本年度より本学富士見校地(東京都千代田区)に導入されている電子掲示板。3月になって突然55・58年館ピロティ下旧掲示板にアドレスが掲示され、戸惑った学生も多いだろう。なぜ急に電子掲示板に移行したのか、開発・運営を行っている学務部に取材した。


2018年度まで富士見校地の掲示板は、現在取り壊しの進んでいる55・58年館のピロティ下にあった。旧掲示板では、その場で全ての授業情報や学部からの連絡を目にすることができたが、学内にいなければ確認できないという短所があった。また時限間の休み時間には掲示板に人だかりができ、確認するまでに時間を必要とし、移動に影響を及ぼしていた。本年度は55・58年館の解体工事が始まり、旧掲示板も工事区域のため立ち入ることができなくなった。


さらに本学では他学部公開科目やグローバルオープン科目など、総合大学の強みを生かした他学部の授業を受けられる制度がある。しかし、旧掲示板において他学部の授業情報を確認するためには、複数の掲示板を確認しなければならず、制度を利用する学生に負担を強いていた。電子掲示板では、端末さえ持っていれば場所や時間の制約を受けず、複数の学部を短時間で閲覧できるのは長所だ。実際、学生から「授業情報をいちいち大学構内にある掲示板まで確認しにいくのは不便だ」という声が当局に寄せられていただけに、今回の電子掲示板の導入は学生の声を反映したものでもある。

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法政大学掲示板のスライドメニュー。ここから本学の関連サイトにアクセスが可能

また電子掲示板は、掲示板の機能のためだけに導入されたわけではない。学内の情報にアクセスする玄関口(ポータル)としての機能も狙って開発されたものだ。スマホ版の右上のメニュー内、もしくはPC版掲示板の最上部を見ると、本学掲示板の横に、情報システム、授業支援システム、Webシラバス、オンデマンドシステムの項目が並んでいる。これらは学部生ならお馴染みのシステムだ。しかし、従来では個別にアクセスが必要だった。各システムの統一化はされていないが、入口が統一化され、掲示板としての機能だけではなく、授業に必要な情報を得る玄関口(ポータル)としても、旧来の掲示板に比べて大幅に利便性が改善されている。


電子掲示板の導入で、紙による掲示板が全廃されたわけではない。外濠校舎2階キャンパス中央広場側の出入り口にある掲示板が、学部掲示板として使われている。昨年度は、公務員試験講座などの連絡に使用されていた掲示板である。旧来の掲示板が残されたのは、個別学生に対する告示など個人情報に関わる連絡の際、万人が触れられるインターネット上ではなく、大学構内のみの掲示にすることで個人情報保護に配慮したからだ。このほか文学部はボアソナード・タワーで、本年度も学科ごとに従来の掲示板を運用している。


なぜ、本年度になり唐突に電子掲示板が導入されたのか。学務部学部事務課長の鈴木氏は、導入には先述の工事の影響もあるが、株式会社マイナビの調査(本学キャリアデザイン学部との共同調査)で2019年卒の大学生・大学院生のスマートフォン保有率が98・8%という現状も考慮したと話す。また本学では、情報カフェテリアやメディアラウンジなどには、学生が自由に使える端末があり、情報を得る環境が整っているというのが鈴木氏の見解である。告知が遅れたのは電子掲示板の運用にあたり、学内関連部局との調整に時間を要したのが理由だ。


電子掲示板は運用開始以来、一度も大きな障害を起こしていない。更に先日の改修によりラインやツイッターで共有できる機能が追加され、ますます便利になっていく。一方で学内関連部局との調整に時間がかかったことによる告知の遅れ、富士見校地のみの対応など、機能面ではなく当局の課題改善も望まれる。(西森知弘)

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