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成績評価基準 変更

国際通用性の向上など目的

本学の成績評価基準が、従来の5段階から11段階となる。本年度春学期の成績から全学生を対象に適用される予定だ。新しい評価基準は、従来に比べてきめ細かな評価ができ、成績評価の公平性の担保につながるとされる。学生の主体的な学びを促進する狙いだ。

【表】最新・成績評価_段階表.png

※素点評価でない場合の「+」「-」は、各教員の裁量により必要に応じて使用

​本学学務部によると、従来は「A+」と「A」から「D」の5段階で評価していたが、新しい評価基準では「S」を新設するとともに、「A」から「C」のそれぞれに「+」と「-」を追加し、11段階で評価する。また、変更と同時に通知書には、学生の所属・学年ごとのGPAの分布が表示される予定だ。これにより、自分の成績の位置を相対的に把握できるようになる。平山喜雄・学務部長は「しばらく様子を見て、新制度の是非を検討していきたい。教育において学修成果の可視化が求められる一方、研究力の向上などを踏まえ、教員の負担にも考慮する必要がある」と話す。

【図】成績評価_文科省GPA調査2015.png

新制度を導入した目的は、成績評価の公平性の担保と、それによる①グローバルスタンダードへの対応、②成績不振者への対応だ。グローバルスタンダードへの対応は、北海道大学も2015年度、同様の意図から11段階での成績評価を導入している。日本と海外のGPA制度の違いから、海外留学の際に不利になる場合があるからだ。例えば、合格基準の最低GPは、日本の多くの大学では1・0であるのに対し、米国では2・0である。そのため、日本で優秀な学生が米国では平均以下として扱われることがある。新制度の導入にはこうした背景が一つの要因となった。本学の制度変更に至る過程では、「C」のGPをこれまでの1・0から2・0に引き上げるなどの案も出た。だが、混乱を避けるため今回は変更せず、評定の段階を細分化するにとどまった。
 成績不振者への対応は、本学学生全体の学力の底上げを図るためのもの。新制度の導入で成績評価をより細かく行えるようにし、今後、GPAが0・8~1・2の学生には補習の機会を設けるなどの措置を検討する。

【表】最新・成績評価_大学別.png

北海道大学では、05年度からGPA制度を実施するなかで、GPAの活用機会が少ないことを認識。15年度に新制度を導入するとともに、GPAの活用機会を広げていった。現在は、履修指導や留学の推進のほか、社会に対し学生の学修成果の質を保証するため、卒業要件にも導入している。


本学では現在、奨学金や派遣留学生の選抜などにGPAが活用されている。活用範囲の拡大について平山学務部長は「進級・卒業要件や、退学勧告として活用できるか否か、今後慎重に検討したい」と話す。ただしこの場合の退学勧告は、退学を強制するものではなく、本学の空気に合わず、個性を発揮できずに苦しむ学生に新たなキャリア形成について考えてもらうきっかけを提供するという考え方であるという。


本学にGPA制度が導入されたのは08年度。今回の制度変更の大枠は16年に、詳細が17年に決まった。学内周知とシステム調整に1年をかけ、本年度からの実施となった。(高橋克典)

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