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【特集=本学の経済事情】学食運営なお厳しく

残る不満の声、相次ぐ撤退経て

本学の学生食堂では昨年、運営業者が相次いで撤退し、市ヶ谷キャンパス富士見校地(千代田区)では一時、食堂が営業停止やメニューの限定に至った。業者の入れ替わりから1年余り――。食堂はにぎわいをみせるも、さらなる改善を求める学生の声も多い。富士見校地の学食運営の状況を施設部に聞いた。

【図】食堂業者の入れ替わり

富士見校地では2017年当時、フォレストガーデン、カフェテリアつどひ、Orange Café、富士見坂食堂の4つの学生食堂を3つの業者がそれぞれ運営していた。うち2業者が17年夏ごろ、大学側に経営難を申告。学食の値上げを認める大学側の対応もむなしく、フォレストガーデンの業者が18年1月に、「つどひ」とOrange Caféを運営する業者が18年7月に相次いで撤退した。

大学はレストランではない

なぜ業者は撤退を余儀なくされたのか。施設部によると、富士見校地の二つの業者はいずれも、食材費や人件費の高騰を理由に撤退した。また、学生の食環境が多様化するなか、大学での食堂運営それ自体が恒常的に問題を抱える。「学食は営業日が実質半年しかない。加えて、客の集まる時間帯が集中する。コンビニもあるなかで食堂が利益を出すのは難しい」(施設部)。だが、食堂の発展だけに多額の費用をかけられないと施設部の担当者は話す。「大学は教育・研究の場。レストランではない」。食堂に力を入れる大学もあるが、「リソースは学費。限られた財源のなかで、付属校も含めて必要な投資を何にいくらするかは、政策的判断」だという。つどひでの電子決済可能メニューが少ないことも「交通系ICは手数料が高額」という理由からだ。

 

現在と今後は?

現在施設部は、学生センターと月に1度打ち合わせをし、業者とも月に1回定例会を開いて、意見交換をしている。だが目に見えるプラスの効果はまだない。業者の経営状況は厳しく、営業時間の短縮やメニュー数の制限が学生の不満にもつながっている。
今後の食堂運営について、施設部は「現状維持では、じり貧になっていく」と危機感をもつ。ただ、それを防ぐ具体的な方策は今も検討中で、「食の満足度を100%にするのは不可能。その中で最適解を見つけようとしている」という。さらに、「キャンパス工事完了後は食堂への動線が改善される」という期待をしつつ、「サービス向上を考えて計画を練っている。なるべく安くておいしいメニューを提供したい」と、大学の姿勢を示した。


食環境の多様化のなか学食はどうあるべきか。大学は食堂の改善に手を休められない。(高橋克典)

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